研究課題/領域番号 |
19K14410
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村椿 智彦 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70741007)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 過敏性腸症候群 / マインドフルネス瞑想 / 脳波 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、本研究のパイロットデータである過敏性腸症候群患者(IBS)15名と健常者15名を対象にマインドフルネス瞑想を単回試行したデータをもちいて、機械学習により両群の脳波を識別できるか検証した。IBSは診断バイオマーカーが同定されておらず,臨床症状から評価される。IBS患者の安静時脳波はα波減衰とβ波増強があり,CRH拮抗薬投与によりこれらの脳波の正常化,大腸運動亢進と消化管症状の抑制が起こる。近年IBS治療においてマインドフルネスの有効性が示されており,瞑想は脳波変容を起こすことが知られている。ベースライン10分,呼吸瞑想10分,回復10分の脳波(Fp1/2,Fz,Cz,Pz)を閉眼で測定した。独立成分分析によるノイズ除去後,各条件の脳波スペクトル割合を10秒ごとに抽出し,Long short-term memoryにより深層学習させ,検証データの健常/IBS識別を実施した。識別正答率はベースライン69%であったが,瞑想により54%に低下し,回復65%に復元した。ベースラインと回復時に一定の正答率が得られたのは,IBSの特徴的脳波が現れたためと考えられる。しかし,瞑想すると50%のランダム判定に近づいた。マインドフルネス瞑想によりIBS特有の脳波を変容させたと考えられる。脳波に基づいてIBSと健常を識別できる可能性がある。今後さらに、マインドフルネス瞑想によるIBS症状および脳波の改善について検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大により、被験者リクルートおよび検査試行が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本検査に参加する対象者を継続して募集し、スクリーニングを実施した後に、適格者の検査を試行する。また、データ解析を実施し、成果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に実施予定であった検査をコロナ禍により実施できなかったため、検査消耗品や謝金関連の支出が生じなかった。これに加えて、データ解析に関わるソフトウェアなどの購入もおこなわなかったため、次年度使用額が生じた。次年度において実施する検査に伴う消耗品の購入と謝金支払い、データ解析や論文執筆等に必要となるソフトウェア等の購入、成果発表等の費用として使用する計画である。
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