研究実績の概要 |
加害型対人恐怖症尺度の信頼性を検証するため、社交不安症の基準を満たし、さらに何らかの加害型対人恐怖を体験している大学生 144 名(mean age = 19.18, SD = 0.98)を対象に、4 週間の間隔をあけたTest-retest reliabilityを調査した。分析の結果、初回調査(T1)および再調査(T2)における加害型対人恐怖症尺度の点数には、仮説通り有意な相関がみられた (r [142] = .771, p < 0.001) 。また、加害型対人恐怖症尺度は、Sheehan Disability Scale (Sheehan, 1983; Yoshida et al., 2004)とも有意に相関していた(r = .707, p < .001).以上の結果から、加害型対人恐怖症尺度には十分な再検査信頼性と収束的妥当性があることが確認された。 次に、社交不安症の基準を満たし、さらに何らかの加害型対人恐怖を体験している大学生534名 (mean age = 19.58 years, SD = 1.307)を対象に加害型対人恐怖症尺度を用いた調査をおこない、加害型対人恐怖症の認知行動モデルを検証した。連続的媒介分析(Serial mediation analysis)の結果、回避行動と安全行動は、加害型対人恐怖と関連する思考の確信度を媒介し、最終的に、加害型対人恐怖の苦痛度を予測するという結果が示された。
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