研究課題/領域番号 |
19K14438
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
羽澄 恵 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神医療政策研究部, 研究員 (00799174)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ナルコレプシー / 特発性過眠症 / 睡眠 / 行動医学 / 臨床心理学 / セルフマネジメント |
研究実績の概要 |
ナルコレプシーや特発性過眠症は、夜間の十分な睡眠にもかかわらず日中に耐えがたい眠気などの症状が生じる慢性的な睡眠障害である。対症療法としての薬物治療によって眠気等の軽減は可能であるが、治療開始後もQOLやメンタルヘルス、社会参加、症状マネジメントに関する問題が残遺する場合があることが、既存の知見より推察される。しかし、そうした問題を維持する要因は十分明らかになっていないため、改善のための支援策は構築されていない。申請者によるこれまでの研究で、当該疾患特有の非機能的信念が存在することが発見された。こうした信念は直接的、間接的に心理社会的問題や症状マネジメントに寄与する可能性が考えられる。よって、本研究の目的は、ナルコレプシーや特発性過眠症といった中枢性過眠症患者における、治療経過にともなう抑うつ等の心理社会的問題等の変化や、その変化に対する疾患特有の非機能的信念や疾患のセルフマネジメントスキルの寄与を明らかにする。本研究により、現行で行われている眠気に対する薬物治療に加えるべき新たな補完的治療・支援等に関する示唆を得られると期待する。 現在、治療開始前時点と治療開始1年後以降のデータを収集する前向きコホート研究のデザインにて、ナルコレプシーまたは特発性過眠症患者のデータ収集を現在行っている最中である。また、2019年日本睡眠学会学会において、治療中の当該患者を対象とした横断デザインにて、治療中の患者における抑うつ合併患者や対人不安合併患者の割合やそうした症状と疾患特有の非機能的信念の強さの関連について、発表を行った。今後は、引き続き縦断デザインのデータを収集するとともに、別途補足に必要となるデータも新たに収集していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大による遠隔診療の実施に伴い患者の受診が大幅に減ったこと等が影響し、データ収集に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
受診者数の短期改善は見込めないため、研究実施期間の延長も視野に入れ、郵送による調査の可否も検討しながら辛抱強く継続的にデータ収集をすすめる。また、COVID-19にともなう自粛生活により睡眠習慣等に変化が生じていることが推測されるため、追加でこうした変化の程度や内容についても検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ管理に用いる電子機器の貸与が可能となったこと、および学会発表のための旅費や参加費が当該財源から支出されなかったことが大きい。今後は、上記に使用する予定だった資金を、睡眠に関する高度な客観指標を測定する機器の購入や貸与、またCOVID-19感染拡大にともなう睡眠習慣の変化に関する検討(今後得られる研究成果に生じうるバイアスを明らかにするうえで必須)に活用する計画を勝てている。
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