研究課題/領域番号 |
19K14439
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
久保田 智香 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 第一精神診療部, 医師 (50584710)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 産後うつ病 |
研究実績の概要 |
母親が自分の子どもにもつ情緒的な関心や愛情を、「ボンディング」と呼ぶ。周産期において、母親が我が子への関心や愛情を持てなくなることは、近年「ボンディング障害」と定義され、着目され始めている。ボンディング障害によって、育児への支障、ひいては虐待などにも繋がる可能性があり、その早期介入が求められているが、国内において有効な方法は報告されていない。 ボンディング障害に関しては、かねてより抑うつ状態との相関が指摘されている。そのため、初年度は、周産期女性に対する質問紙調査から、周産期におけるボンディングの評価指標であるMIBS(Mother-to-Infant-Bonding Scale)と抑うつ状態にスクリーニング指標であるEPDS(Edinburgh Postnatal Depression Scale)の解析を行った。その結果、周産期の希死念慮とボンディングとの間には相関がないこと等が判明し、海外雑誌において発表を行った。
また、本研究の主要目標である産後の母親に対する動画を用いた介入方法の導入に関しても活動を開始した。まず、国内にて動画介入法の実施経験のある治療者から情報収集を行い、いくつかの手法に関して、国外にて発表されている文献および書籍を検討した。次に、英国にて開発された動画介入法であるビデオ相互作用ガイダンス(Video Interaction Guidance : VIG)に関して、英国にて定期的に開催されている研修会に参加し、国内導入に必要な課題をピックアップした。
今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、VIGを実施することが困難な環境となり、類似した効果をもつ介入法の調査を行なった。また、ボンディングに関して、ウェブ上で参加できるアンケートを利用して調査するよう、質問項目の整理、倫理委員会への申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当該施設にて動画介入法を十分な数の対象者に行うことは困難と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
①現在、実施可能な方策の検討 ②ボンディングに関する調査の継続 ③ボンディングに対して、ウェブカメラなどのツールで親子に介入する方法の比較検討 を引き続き継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により予定よりも計画が遅れている。そのため、動画による親子への介入、データの収集、解析等が行える段階になってからの使用を検討している。
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