研究課題/領域番号 |
19K14441
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
砂川 芽吹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (70823574)
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研究期間 (年度) |
2020-02-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 女性 / 社会適応 / 適応行動 / 発達障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自閉スペクトラム症(以下,ASD)のある女性の「社会適応」について,当事者の視点からその具体的な内容を明らかにし,日常生活における困難とそれに対する支援を検討することである。 本年度は,昨年度までに実施した女性当事者が持つ「社会適応」の認識に関する12のインタビューデータについて質的な分析を行い,その結果を論文としてまとめて投稿準備を行った。併せて,関連学会での成果の発表を行った。当該インタビュー調査の結果から,ASDのある女性の,社会適応に関する2つの中心的な認識が明らかとなり,当事者が日々の生活における安定を維持するための調整を行っていたことが示された。また,多くの当事者が社会に適応することへのプレッシャーを感じ,ASDの特性をコントロールしながら意識的な行動をとっていたが,その代償の大きさも示唆された。 そこで,「社会適応」に関して,より具体的な行動を明らかにすることを目的に,本年度の後半では,日常生活における適応行動に関するインタビュー調査を実施した。ASDのある女性当事者17名から協力を得て,2時間~2時間半程度のインタビューを行った。成人期に診断を受けた当事者が,幼少期から抱く違和感とそれに対する対処行動が語られた。また,現在の適応行動についても尋ねた。引き続きデータの収集を行うとともに,事前のアセスメント調査(ASD特性,カモフラージュ行動,QOL)および言語データに関して質的・量的の両側面から分析を行うことを予定している。これにより,ASDのある女性の適応行動について,より多角的な視点から深く捉えることができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,本年度はASDのある成人女性の適応能力に関して,その障害の程度と他の特性との関連を明らかにすることを目的に,質問紙調査および心理検査を行う予定であった。しかしながら,新型コロナウイル感染症の影響で,対面での検査実施は難しく研究計画を変更せざるを得ない状況であった。 そこで,昨年度の研究成果を発展させる内容で,オンライン上のインタビュー調査に切り替え,データを収集中である。ASDのある女性が日常生活でとる適応行動について,その具体的な内容や背景を当事者の語りから明らかにすることができると考えられる。しかし現時点では十分な協力者の人数が集まっているとはいえず,またデータの分析に取り掛かれていないことから,本研究課題の進捗状況は当初の計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の前半までに現在実施中のインタビュー調査を終え,年度後半までに分析を実施し,関連学会での発表および論文としてまとめる予定である。 また,ASDのある男性,および男性と女性のいずれでもないと自覚するASDのある当事者に対しても調査への協力を依頼し,それぞれの共通点と相違点を社会的な文脈も考慮しながら検討する。併せて,ASDの女性が日常生活において比較されやすい定型発達の女性に対しても調査を行う。以上のことにより,ASDのある女性の困難を,性別,特性の強弱,診断の有無といった側面から検討することができると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は心理検査を含む調査を実施する予定であったが,新型コロナウイルス感染症拡大に伴い協力者を集めることが困難な状況となり,物品費や謝金などで次年度使用額が生じた。また,同様に学会や研究会等への参加を予定して旅費を見込んでいたが,それらも実際に現地で実施されたものがなかったため,本年度は旅費の使用がなかった。 次年度は非対面型の調査および,感染状況をみながら対面での調査を実施し,物品の調達および協力者への謝金の支払いを行う予定である。また,打ち合わせや学会参加,データ収集のために旅費を使用する予定である。
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