研究課題/領域番号 |
19K14444
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
稲田 祐奈 金沢大学, GS教育系, 研究員 (40835154)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 嗅覚検査 / 幼児 / 言語発達 / におい同定 |
研究実績の概要 |
嗅覚異常や嗅覚低下は認知症で認められることが知られており,スクリーニングとして嗅覚検査が用いられているが,嗅覚異常は老年期だけの問題ではなく,自閉症スペクトラム症のように幼少期から嗅覚に困難を伴う疾患が存在する.嗅覚の困難を早期発見するために,幼児用の嗅覚検査が必要であると考えられるが,日本には標準化された嗅覚検査はない.そこで本申請では,(1)幼児の嗅覚検査の開発を試みる.しかし一から開発するのではなく,既存の成人用嗅覚検査の方法を幼児向けに改変することによって,実用的かつ,最速の完成を目指す.また,成人用検査を幼児に適用する際に最も問題となると考えられる「言語力の乏しさ」を解消する手続きを追加する.さらに(2)ASD児に同検査を実施し健常児と比較することで,ASD児の嗅覚力の特徴を検討する.また臨床現場での実施に不可欠な, 手続きの簡便さ,所要時間の短縮化など本検査の実用性の点についても検討する. 本申請は幼児用嗅覚検査を開発するため,具体的には,まず計画(1)として,幼児の嗅覚検査キットを考案,作成することとした。次に,計画(2)として,ASD児に同検査を実施し健常児と比較することで,ASD児の嗅覚力の特徴および検査の有用性について検討することとした。 初年度である2019年度は,計画(1)の完了を目指したが,協力施設の変更により,計画の3分の1程度の実施件数にとどまった。しかし,2020年度の目標であった,患児データ取得の見通しを立てることができたため,今後は計画(1)を続行しつつ,同時に計画(2)も進めることにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画(1)は近隣の子育て支援グループと,予備実験の協力を得た神奈川県のNPO法人子育て支援グループの協力により,健常児のリクルートをする予定であったが,これらの協力が難しくなったため,同志社大学赤ちゃん学研究センターの共同研究公募事業に応募し,リクルートおよび実施のサポートを受けることになった。このため,計画よりも実験実施までの準備に時間を要したが,協力体制が整ったため,今後はスムーズに実施が可能と考えている。また計画(2)についても協力施設の変更をせざるを得ない状況となり,国立精神神経医療センターの協力を得ることとなったが,こちらでの実施についても可能となったため,計画(2)は当初の予定通り,実験実施が可能となると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の進め方として,計画(1)と計画(2)を同時に進めることとなるため,研究補助を受けながら行う。2019年度中に行えなかったデータ報告も,計画(1)健常児のデータ収集が完了する2020年度中に,1度行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実施件数が予定よりも大幅に少なくなってしまったため。
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