統合失調症の前駆段階としてAt Risk Mental Stateが提唱されている。本研究ではARMSの同定法として、臨床場面で広く使用されているロールシャッハ・テストに加え、唾液による生化学的手法を用いて、ARMSの特性を明らかにした。健常とARMS、ARMSと統合失調症の間には差異が存在し、ARMSでは健常と比較してストレス反応性が高く、統合失調症と比較した場合には認知機能の働きが良好である一方で、情動の敏感さが示された。これらの知見はARMSをより早期に同定できる可能性を含んでおり、ARMSの同定が正確かつ迅速に行われることで、統合失調症の発症予防に繋げ得るという点で社会的意義がある。
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