研究課題/領域番号 |
19K14458
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
渡邉 孝継 立正大学, 社会福祉学部, 助教 (00769466)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害児 / 対人関係 / QOL / コミュニケーション / 保護者 |
研究実績の概要 |
日常生活場面におけるASD児とその保護者・支援者との間で取り交わされるコミュニケーションの過程の分析により,対人関係を基盤とするQOL(これをSocial Interaction related QOL:SI-QOLと名付けた)を向上させる変数を明らかにし,保護者・支援者に負担を強いることのないコミュニケーション支援技法を開発することを目的とする。そのために,①日常生活場面におけるASD児の保護者・支援者の対人刺激を手がかりとした社会的行動が維持・強化される条件の検討と②保護者・支援者の「ASD児の対人刺激を手がかりとした社会的行動を強化する行動」が維持・強化される条件の検討,③①,②によって明らかになった条件を反映させたコミュニケーション支援技法の効果の検証を行う。 2019年度は,ASD児の保護者(2名)と支援者(2名)の計4名に対して,①ASD児の保護者・支援者の対人刺激を手がかりとした社会的行動が維持・強化される条件の検討を実施した。半構造化面接を用いて,保護者と支援者からASD児との関わりを聴取し,逐語記録を分析した結果,2名のASD児は保護者や支援者の日常生活場面における特定の種類の言語刺激や社会的刺激を手がかりとして社会的行動を自発していることが明らかになった。そして,保護者や支援者の言語賞賛や活動の達成が強化刺激となっていることも明らかになった。 以上のことから,ASD児の保護者・支援者の対人刺激を手がかりとした社会的行動が維持・強化される条件を検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,①ASD児の保護者・支援者の対人刺激を手がかりとした社会的行動が維持・強化される条件を検討することができた。これらの成果は,第2年次に学会発表と「事例研究」として論文投稿を行う予定である。また,②保護者・支援者の「ASD児の対人刺激を手がかりとした社会的行動を強化する行動」が維持・強化される条件の検討もすでに着手済みである。以上を総合した結果,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①ASD児の保護者・支援者の対人刺激を手がかりとした社会的行動が維持・強化される条件を検討することができた。第2年次は,②保護者・支援者の「ASD児の対人刺激を手がかりとした社会的行動を強化する行動」が維持・強化される条件の検討を行う。ASD児の社会的行動が維持・強化できる条件がわかったとしても,保護者・支援者にメリットが少なく負担を強いる方法である場合,支援がASD児へ提供されないためである。そのため,第2年次は,保護者・支援者の負担が少ない支援方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
逐語起こしのデータ量が想定よりも若干少なかったために,業務委託料が減ったため,その分の未使用額が発生した。未使用額はわずかであるため,次年度のデータ整理のための物品費として使用する予定である。
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