研究課題/領域番号 |
19K14461
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
嶋 大樹 同志社大学, 心理学部, 助教 (00835788)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アクセプタンス&コミットメント・セラピー / ACT / 情報通信技術 / ICT / メタファー / 認知行動療法 / マインドフルネス / 反すう |
研究実績の概要 |
本研究では,精神的健康の保持増進に資するために,インターネットを介したアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の介入プログラムを開発することを目的とする。特色は,情報通信技術(ICT)を心理的支援に導入し,日常生活下でのリアルタイム介入を可能にすることで,支援の個人への最適化を試みる点にある。 本研究は,抑うつもしくは高不安傾向の大学生を対象とする。ICT支援型のACTの実行可能性の検証,プログラムの有効性の検証,手続きの精緻化,対面式とICT支援型ACTの効果の差異の検証,という手続きで進める予定である。なお,プログラムの効果だけでなく,負担感や取組みやすさなどの社会的妥当性の評価も実施する。 介入内容を大学生に合わせて調整/精緻化することが必要となるため,本年度はメタファーやエクササイズなどの「体験的技法」の使用に関するインタビュー・実験を実施した。一連の研究の結果,メタファーを代表とする体験的技法を用いる際には,クライエントのこれまでの経験をベースにすることの重要性が明らかとなった。また関連して,翻訳書等に掲載されている翻訳版の技法を,クライエントの文脈に則して調整することなく使用することは,その効果の発揮に繋がりづらいことが示唆された。本研究の成果は,介入プログラムに反映される予定である。 また,ICT利用に関する研究として,日常生活下における行動測定に対するコミュニケーションアプリの応用可能性を検討した。学生を対象として,マインドフルネスなどの体験的技法の実施による反すうの頻度の変化について,アプリを用いて日常的な記録を求めた。その結果,マインドフルネスを実施することで,反すうの頻度が減少する可能性が示唆された。アプリ応用に関する問題は認められなかった。 以上の研究成果の一部は学会にて発表済みであり,現在論文投稿に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時より役職が変わり,予定の大幅な変更の必要性が生じたため。また,介入内容を精緻化するにあたって考慮すべき要因が多く,それぞれについての追加の検討が必要と判断したため,予定よりも時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
得られた成果の論文化と並行して,介入内容の精緻化に関するその他の研究を継続する。また,これまでの研究で得られた知見(体験的技法を効果的に用いるための留意点・コミュニケーションアプリの応用可能性等)をプログラム内容に組み入れて素案を作成する。予備データを収集,それに基づき改良し,プログラムをまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際学会への参加ができなかったことおよび研究計画の再調整によって,次年度使用額が生じた。 調査および実験の早期の実施,論文執筆/校正,学会発表資料校正,日常生活下における測定・介入に使用可能なウェアラブルデバイスやアンケートアプリ等の研究備品の拡充,国内外学会への参加への使用を計画している。
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