研究課題/領域番号 |
19K14463
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
中川 裕美 神戸学院大学, 心理学部, 講師 (60781565)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 職場復帰支援 / うつ病 / 両立支援 / ワーク・ライフ・バランス / マインドフルネス |
研究実績の概要 |
厚生労働省が実施している患者調査によると、うつ病の罹患者数は増加の一途をたどっている。しかし、その多くは労働者層の年代であり、さらに一度うつ病に罹患すると、ほとんどの場合は休職して療養に専念しなければならない(日本うつ病学会,2012)。また、うつ病の罹患者は生涯のうちに平均で4回うつ症状を体験するとされている(Judd,1997)。さらに、我が国における自殺やうつ病がなくなった場合の経済的便益(自殺やうつによる社会的損失)の推計額は、単年度で約2.7兆円、GDP引き上げ効果は約1.7兆円と推計され(厚生労働省,2010)、うつ病患者の復職支援と再発予防対策は喫緊の課題と言える。そこで本研究では、うつ病による休職者を対象とした復職支援の現状と課題を抽出し、再発・再休職の予防に向けた有効な支援策について検討する。 2019年度は厚生労働省による復職支援に関わる指針、および報告書や「治療」と「就労」の両立を支援するという「治療就労両立支援(両立支援)」に関する先行研究などを中心に、公刊された論文等の文献についてレビューを実施した。その結果、うつ病などのメンタルヘルスの不調による休職者に対する現行の復職支援では症状の回復と復職が最終目標とされたものが多く、うつ病の休職者が復職後の生活をマネジメントしていくための議論は極めて少なく、効果的な介入方法やツールについても十分に検討されていないことが明らかとなった。以上のことから、今後はうつ病などのメンタルヘルス不調による休・復職者に対する復職後の就労維持と再発予防のためのワーク・ライフ・バランス支援に向けた具体的なアプローチについて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は厚生労働省による復職支援に関わる指針、および報告書や「治療」と「就労」の両立を支援するという「治療就労両立支援(両立支援)」に関する先行研究などを中心に、公刊された論文等の文献についてレビューを実施し、現状課題と調査内容を整理することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はうつ病などのメンタルヘルス不調による休・復職者に対する復職後の就労維持と再発予防のためのワーク・ライフ・バランス支援に向けた具体的なアプローチについて、質的調査および量的調査による検討を行い、学会での発表や論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響により参加予定であった学会でのシンポジウムが中止となり、旅費交通費の支出がなされなかったため。
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