研究課題
ヒトが持つこころがどのように形成されるのかを検討するために、本研究では、基礎的な知覚・高次の思考を含む様々な課題を実施するとともに、世界各地で行われた心理実験の成果を集約できるようなプラットフォームの開発を行った。心理学で扱う課題には、刺激の呈示時間や呈示サイズ、厳密な教示などのために実験室で行われる課題(実験室実験)と、webなどを利用して比較的ラフな状況で大々的にデータ取得が行われる課題(オンライン調査・実験)がある。実験室実験では、視覚探索課題によって視覚認知機構の文化的差異や、顔知覚と対人認知の関係性の文化的差異、行動や対人評価に影響を与える動機づけの文化的差異について検討した。新型コロナウィルスの影響によって実験室実験が困難になったことを踏まえ、オンライン実験の仕組みを整備し、オンライン実験でも実験室実験と同様の結果が得られることをいくつかの課題で確認することができた。また、こころに関する概念の調査も行い、「こころはどこにある?」「ヒト以外はこころを持つか?」「幸福/不幸はどういった色で表現される?」「幸せはいくらで買える?」といった「こころ」そのものに対する考え方の違いに関する基礎的なデータを得た。研究成果の集約プラットフォームについては、過去に様々な地域・方法で行われた研究を柔軟な形で比較・検討できるように、新たな基盤として心理実験オントロジーを構築した。今後、これを様々な研究に適用し、こころの形成過程を重層的に検討することが望まれる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (2件)
Psychologia
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