研究実績の概要 |
最終年度である2022年度には、子供の発話データベースであるのCHILDES database(MacWhinney, 2000)の日本語コーパスデータについて、Python によるプログラミングを用いた定量的かつ探索的な研究を進めた。この成果について、英国・ランカスターにおける国際学会にて発表を行ったほか、論文の執筆の大部分を済ませた。論文は執筆作業を続けるほか校正作業等を行い、国際ジャーナルに投稿する予定である。この研究は、日本語を習得する子供が会話のインタラクションの中でどのように言語産出するかを、同調(アラインメント)の観点から明らかにするものである。日本語という英語と類型的に異なる言語を対象とすることで、英語を対象に進んでいる言語的同調の研究の成果を検証するという意義もある。 本研究課題の期間全体の研究成果は、研究代表者が進めてきた日本語の文法構造についての第一言語習得について、やりとり上の言語使用を分析し、様々な知見を得たことである。形態的に複雑な日本語の動詞に焦点を当てるだけでなく、探索的分析により、どのような文法構造が子供の言語において重要かを評価できたことが1つの重要な成果であると考える。この成果は今後の研究の展開につながるものである。本研究課題で分析した会話的やりとりについて、言語だけでなくマルチモーダルなコミュニケーションの発達的変化を捉えるための研究を計画している。
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