研究成果の学術的意義や社会的意義 |
感情の抑制は精神的健康の悪化につながる(Gross & John 2003)。臨床場面で観察された社交不安傾向者の表情による感情隠蔽には性差が観察され,期待される性役割に基づいた感情隠蔽が行われる可能性が示唆された。特に男性の場合,社交不安傾向が高いほど笑い顔や怒り顔の表情表出の強度が強く,また社交性が高く評価された。男性社交不安傾向者のこうした特性は,男性の社交不安傾向者の有病率の低さや援助希求行動が少ないといったこれまでの報告の一因となっている可能性が示唆された(Kessler et al., 1994; Merikangas et al., 2010)。
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