研究課題/領域番号 |
19K14487
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
望月 圭 近畿大学, 医学部, 助教 (50779931)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 神経科学 |
研究実績の概要 |
自分で身体を動かしたとき「その運動を自分の意思で行なった」という感覚が生じる。これを運動主体感という。このあたりまえの知覚の成立には、自身の運動出力と身体状態の感覚フィードバックの高度な比較が必要であり、その神経メカニズムは未だ明らかになっていない。これは、運動主体感の定量がヒト以外の動物では難しく、動物実験による神経メカニズムの検討ができないという根本的問題によっている。そこで本研究は、動物実験において運動主体感を定量する行動課題を開発するとともに、実際の動物実験を通して、運動主体感の生起と異常のメカニズムを解明することを目的とした。 2020年度、本研究課題は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大と、それに対する予防的措置のため、研究進展の大きな遅延を余儀なくされた。とくに年度初頭においては、大阪という所属機関の所在地の関係もあり、万一のCOVID-19感染とそれによる実験動物への影響を避けるため、実験の中断と飼育区画の区分け、研究室人員内での実験動物接触人員の班分けなどを行なった関係で、研究活動が大きく制限された。年度なか頃には動物飼育区画等の運用を一部元に戻し、実験再開のための再馴化と訓練を開始したが、年度中盤以降のCOVID-19第2波・第3波流行の影響を受け、新規データの取得のための実験再開は困難な状況となった。 また2020年度は、前年度末から継続してほとんどの学会大会が中止や誌上・web上開催となったため、成果発表や研究進展に不可欠な資料収集の機会が減少したことも、研究進捗にとっての痛手となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、研究実績の概要の項で挙げたとおり、COVID-19の感染拡大とそれに対する行政レベル・機関レベル・所属教室レベルでの対応の影響を受け、研究の進捗は大きく遅れることとなった。実験動物個体の長期間の馴化と訓練が必要な認知神経科学的動物実験においては、とくにその影響を大きく受けたといえる。前年度までの進捗状況に則り、本年度は2個体目の動物における行動課題訓練と行動薬理実験を優先して実施する予定であったが、想定以上のCOVID-19の影響により、その進捗は大幅に遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の成果創出には、行動データ・行動薬理実験データのいずれについても、最低限2個体からのデータ取得が不可欠である。そのため次年度は、すでにデータの取得ができている1個体目に加え、2個体目からのデータ取得を最優先する。2020年度末において、本課題の研究代表者は所属変更となり、2021年度より新所属にて研究を継続している。2021年度は、実験動物および実験機器の移送と、新所属におけるセットアップを速やかに行ない、可能な限り早期の2個体目の実験データ取得作業の再開を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要に記載のとおり、2020年度はCOVID-19の感染拡大防止の目的で研究進捗が大きく遅延したため、次年度における実験再開とデータ取得に備え、研究予算の支出を抑えた。この繰り越し額については、2021年度、所属移動により使えなくなった旧所属の機器類を新所属にて揃える目的に充てる予定である。
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