研究課題
若手研究
自身の運動にともなって生じる「自分の意思でその運動をしようと思って行なった」という主観的な感覚(運動主体感)は、われわれの日常生活上の行動になくてはならないものである。しかしながらこうした主観的感覚を実験動物で定量することは難しく、その神経生理基盤の研究方法は限られていた。本研究は、ヒトで発見された運動主体感の定量法を動物でも実施可能な行動課題へと発展させ、ニホンザルにおいて実際に実験を行なうことで、動物実験による運動主体感の生起と異常の神経メカニズムの解明への道を示した。
神経科学
ヒトにおいて運動主体感を定量する方法は、運動の自己帰属性について直接的に内観報告を得る手法や、心理物理実験により間接的に運動主体感の程度を推定する手法などがあるが、いずれも言語的な報告が必要となり、動物実験に応用するのは困難だった。本研究では、こうした先行研究の行動課題を実験動物向けに変更することで、動物においても運動主体感の程度を推定する方法を提唱した点に大きな学術的意義がある。