研究課題/領域番号 |
19K14503
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
時本 一樹 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (20783385)
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研究期間 (年度) |
2022-12-19 – 2027-03-31
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キーワード | 局所Langlands対応 / 非可換Lubin-Tate理論 / Lubin-Tate空間 / アフィノイド部分空間 |
研究実績の概要 |
非可換Lubin-Tate理論によると,GL(n, F)の局所Langlands対応と局所Jacquet-Langlands対応はLubin-Tate空間の射影系のl進コホモロジーに実現される.私の以前の研究とその先行研究では,Lubin-Tateパーフェクトイド空間(射影系の極限)のアフィノイド部分空間が構成され,形式モデルの還元のコホモロジーがあるクラスの表現に対して2つの対応を実現することが示されていた.本研究のはじめの目標は,これらの研究を別のクラスの表現に対して拡張することであった. 今年度はこの目標のある場合に取り組んだ.具体的には,これまでの研究の表現のクラスは不分岐または完全馴分岐なn次拡大体と関係していたが,これを一般の馴分岐拡大体に拡張することを目指した.そのためにまずは,不分岐な場合,完全馴分岐な場合の研究(前者はBoyarchenko-Weinstein,後者は私自身による)の還元の計算をあらためて検討して,前者の計算を後者の計算に近い形で再解釈しようとした.しかし,当初の想定より難しく,この再解釈がまだ完成させられていない. もう少しだけ詳細を説明する.Lubin-Tateパーフェクトイド空間は,ある具体的な整モデルを持ち(Weinsteinの結果),アフィノイド部分空間は,その座標を適切にとりかえて,付値に条件をつけることで定義される.整モデルの関数環は,大体,n変数形式べき級数環を1つの定義方程式で割ったような形をしているが,還元の計算は,座標をとりかえたときに定義方程式がどう表されるか,付値に条件をつけたときにどの項が主要項になるかを調べることに帰着される.不分岐な場合のアフィノイド部分空間の定義に使われた座標によって,一般化に適した形で定義方程式を表示しようとしているが,この部分で難航している.定義方程式に現れる,行列式と類似したべき級数の性質を詳しく調べることが鍵になりそうである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,初年度のうちに「研究実績の概要」で述べたような既存の研究の再解釈は終えて,これまでに扱われていなかったクラスの表現に拡張する研究にとりかかっている予定だったが,実際には,再解釈の部分すらまだ終えられていないから.
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今後の研究の推進方策 |
既存の研究の再解釈が想定より難しかったものの,少しずつ着実に理解は深まっているので,引き続き,この方針で研究を進める. また,情報収集や他の研究者との研究討論のために昨年度より出張を増やす.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度計画していた研究に予想以上の時間がかかってしまい,出張を予定より減らしたのが,主な理由である.次年度は今年度より多くの出張を予定していて,次年度使用額は,その旅費の一部として用いる予定である.
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