研究課題/領域番号 |
19K14506
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
光明 新 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 講師 (90760976)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | モジュライ空間 / 接続 / シンプレクティック形式 / 不確定接続 / 可積分系 |
研究実績の概要 |
1. フレーム付き確定接続のモジュライ空間上のシンプレクティック形式と大域的代数関数についての研究 この研究テーマについて、前年度に引き続きBiswas氏、稲場氏、齋藤氏との共同研究を進めた。フレーム付き接続のモジュライ空間上のシンプレクティック形式の構成に関する研究はほぼ完成状態となった。また、放物接続のモジュライ空間上の大域的代数関数全体の超越次数がモジュライの次元よりも小さいことの証明を試みており、種数が低い場合の詳細の確認が課題であったが、特殊な場合を除き確認が取れた状態となった。この特殊な場合についても確認作業を続けている。
2. 不確定放物接続のモジュライ空間と不確定放物束のモジュライ空間の研究 この研究テーマについて、前年度に引き続きLoray氏と齋藤氏との共同研究を進めた。今年度は特に、射影直線上の階数2の不確定放物束のモジュライ空間を調べることに集中した。まず、接続を忘れることで不分岐型の不確定放物接続のモジュライ空間から不確定放物束のモジュライ空間への写像が得られるが、不確定放物束がその像に含まれることを特徴づける不確定放物束の条件を与えた。さらに射影直線上の不確定放物束のモジュライ空間の次元が2となる場合に、その明示的な記述を与えた。モジュライ空間の明示的な記述として、弱del Pezzo曲面が現れる。この記述によって古典的に知られている弱del Pezzo曲面の自己同型群の、不確定放物束の初等変換としての解釈を与えた。これらの成果は論文にまとめられ、プレプリントとして公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Biswas氏、稲場氏、齋藤氏との共同研究においては、論文の完成に向けて推敲を重ねており、論文原稿の完成度は高まっている。
Loray氏、齋藤氏との共同研究においては、射影直線上の階数2の不確定放物束のモジュライ空間を詳細に調べることができ、その結果をプレプリントとして公開することができた。また、2月の神戸大学主催のオンライン研究集会でも本内容を講演することができ、概ね順調に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
放物接続のモジュライ空間上の大域的代数関数全体の超越次数がモジュライの次元よりも小さいことの証明については、まだ確認が追いついていない特殊な場合について、Biswas氏、稲場氏、齋藤氏と確認をとる作業を続ける。また機会を伺い、Biswas氏のいるタタ基礎研究所への出張を行い、直接議論を行い今後の方針等を議論する。また稲場氏とは、この共同研究のテーマ以外のテーマについて課題が共有できており、今後は稲場氏との共同研究も進めることになる。
Loray氏、齋藤氏との共同研究を引き続き行う。これまでは不確定放物束のモジュライ空間の考察に集中してきたが、今後は、これまでに得られた知見を活かしながら不分岐型、または分岐型の不確定接続のモジュライ空間の幾何学の研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に幾つかの海外出張を計画していたが、新型コロナウイルスの蔓延により、この計画はキャンセルとなった。このため次年度使用額が生じた。
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