研究実績の概要 |
最終年度はまず, 一般の代数曲線上の接続のモノドロミー保存変形の記述のため, レンヌのLoray氏・ブダペストのSzabo氏・神戸学院大の齋藤氏と共同で見かけの特異点の理論の整備を行なった. 接続の階数が2の場合には実際に, 接続のモジュライ空間から曲面のHilbert概形への双有理写像を構成し, それがシンプレクティック形式を保つことを示した. この結果をまとめた論文はarXivに載せて現在投稿中である. さらに射影直線上階数が2で極因子の次数が4の場合の接続のモジュライ空間のコンパクト化の研究を, 稲場氏と共同研究によって進めた. 懸案であった, 接続の退化を含めたモジュライのオブジェクトの定式化の問題に進展があり, 接続のモジュライ空間のコンパクト化の構成および, 期待されるパンルヴェ方程式の初期値空間との同型写像の構成に向けての見通しがたった. 本研究では研究期間全体を通じて, ある種のモノドロミー保存変形を記述する微分方程式であるガルニエ系(または不確定ガルニエ系)の代数解の研究を進めてきた. まずガルニエ系の代数解についてはGirand氏のガルニエ系の代数解の研究の一般化を行なった. また不確定ガルニエ系については, DiarraとLorayによる代数解の分類理論により代数解を持つとわかっていた, ある種の不確定ガルニエ系について実際にその代数解を求める研究を行なった. この代数解を求めるために, 不確定特異点を許す接続のモノドロミー保存変形を具体的に記述するための見かけの特異点の理論を整備した. その結果, 実際にその不確定ガルニエ系の代数解を求めることができた.
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