研究課題/領域番号 |
19K14516
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
内山 智博 創価大学, 国際教養学部, 講師 (60822088)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 代数群 / 幾何学的不変式論 / 球面式建物 |
研究実績の概要 |
当初計画通り本年度前半はフンボルトフェローとしてドイツのBochum Universityで在外研究を行い、ドイツの共同研究者と代数群(行列の集合の構造)、幾何学的不変式論(代数幾何の一つ)、球面式建物(組み合わせ論の一種)の研究を行った。本研究は数学の一見して異なる3つの分野の隠れた繋がりを発見しようという研究である。
その中でも特にJ.P.Serreによる代数群におけるComplete reducibilityの概念について考察し、その概念を従来のAlgebraically closed fieldにおけるものから任意のfieldへ拡張し、様々な結果を得た。例えば、代数群におけるRationalityの問題に関する重要な例(F4 example)を発見し、ドイツ、イギリスの研究者と共同で研究結果を2本のプレプリントにまとめた。現在はその論文の改訂中である。さらにドイツ滞在中にはヨーロッパの共同研究者を訪問し、共同研究を行なったり、国際学会にて研究結果を発表し、代数群、幾何学的不変式論、球面的建物の世界を代表する研究者たちと研究交流を行なった。
本年度後半はF4 exampleの理論的な帰結を考察し、球面式建物と幾何学的不変式論への応用を発見した。特にF4 exampleとJ.TitsによるTits Center conjectureとの関連を考察して、その結果を上述の2本のプレプリントに付け加えた。さらに近年発展中のConrad, Gabber, PrasadによるPseudo-reductive groupsの理論とComplete reducibilityの概念の関係も考察し、様々な条件のもとでPseudo-reductivityとComplete reducibilityは同地であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度前半はドイツでの研究が順調に進み、当初予定とは違う方向であったが、代数群の部分群の構造に関する重要な例を発見し、代数群の理論を拡張することができた。 本年度後半とくに冬季、春季休暇中に台湾とドイツで在外研究を行う予定であったが、どちらもコロナウイルス の蔓延のため延期となってしまい、研究の進捗に多大な影響が出た。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書の予定通り、代数群の部分群の構造と幾何学的不変式論と球面式建物の関係性の研究を継続する。 本研究ではドイツやイギリスの共同研究者との研究交流が極めて重要であるが、しばらくはコロナウイルスの蔓延のため在外研究を行ったり、国際学会に参加することができないと思われる。したがって代替案として、オンラインでの研究交流をすでにスタートしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスのためにドイツの共同研究者を訪れることができなくなったため。 コロナ収束後にドイツを訪問する予定である。
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