最終年度は,A.Pianzola氏(University of Alberta)と,森田純氏(筑波大学)との共同研究により affine Kac-Moody 群を(捻れ)ループ群の中心拡大としてとらえることが可能であることが判明したのでそれを定式化した.より詳しく述べると,中心拡大はリー代数レベルで Galois descent としてとらえられるが,それが群のレベルでもその類似が成り立つことを示した.この結果は「Affine Kac-Moody Groups as Twisted Loop Groups obtained by Galois Descent Considerations」というタイトルの論文に纏め,雑誌社に投稿し,既に受理され掲載されいてる. この研究結果から,無次元次元のスーパー代数群(つまり,Kac の分類したスーパー・リー代数から構成される affine Kac-Moody スーパー群)でも同様のことが成り立つか否か,という問題に対しては,スーパー・リー代数レベルでの中心拡大をそのまま(生成元と関係式を)持ち上げることが,捻れがある場合は,即座には困難であるということが明らかになった.特に,すべてのリー・スーパー代数のタイプを一般的に取り扱うのではなく,捻れのある場合に個別ごとにスーパー群への持ち上がりを研究するべきである,という研究指針を得ることができた. また同氏らと,この中心拡大の研究結果を用いることで,対応するリー代数関手の性質を研究しその特徴づけを行った.この結果は「Affine Kac-Moody groups and Lie algebras in the language of SGA3」というタイトルの論文に纏め,雑誌社に投稿し,既に受理され掲載されている.
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