研究課題/領域番号 |
19K14519
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
渡邊 悠太 宇部工業高等専門学校, 一般科, 講師 (10824964)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 有限射影幾何 / シュバレー群 / アソシエーションスキーム |
研究実績の概要 |
研究代表者のこれまでの研究で、有限射影幾何の量子アファイン代数の表現論を用いた研究手法を新たに提案し、 Grassmann多様体の良い部分構造であるSchubert胞体を、組合せ論で有用なアソシエーションスキームの枠組みで特徴付けるなどの結果を得ている。この証明の核心的な部分を、Grassmann多様体よりもさらに抽象的な枠組みである旗多様体のレベルに拡張しようとする議論を行っている。一昨年度、当時東北大学に所属していたJon Xu氏との共にSchubert胞体へ作用する群をより一般化したシュバレー群に着目した議論を行ったが、そのアプローチを継続して実施している。今年度は、昨年度に引き続き、特に以下の2点に焦点を当てて研究を進めた。Grassmann多様体のSchubert胞体へのシュバレー群の作用をアソシエーションスキームの枠組みで展開する点と、B型やC型といったGrassmann多様体に近い旗多様体への拡張の模索である。前者については、特殊なパラメータにおいてGeneralized wreath productと呼ばれるアソシエーションスキームの積構造が現れる点に着目し、我々のアソシエーションスキームはその積構造のある種の一般化になっていることを期待した。主にその観点からの考察を行った。後者については、パラメータが小さく、具体的に計算できる例を手がかりにして、主にGrassmann多様体のケースと比較しながら進めていった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Grassmann多様体での議論を、Grassmannアソシエーションスキームや一般の旗多様体の枠組みへの拡張することに取り組んだが、Grassmann多様体での特殊事情の取り扱いに手間取っており、十分な成果をあげることができなかった。また、コロナウィルス感染症の影響で研究集会のキャンセルが相次ぎ、情報交換する機会が減ってしまったのも少なからず影響があると考えている。さらに、今年度は育児休業を取得した影響で、研究時間を確保することが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き、Grassmann多様体のSchubert胞体へのBorel部分群の作用をアソシエーションスキームの枠組みで展開することが最初のステップである。その後は、Erdos-Ko-Rado型定理についての考察や、Grassmann多様体に限らず他のタイプの旗多様体についても同様の結果を模索していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題に関する情報収集のため、研究集会・学会に参加する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、研究集会がオンラインでの開催になるなど、当初の計画から大幅に変更することになってしまった。その結果として主に旅費に割り当てる予定だった予算が余る事となった。さらに、今年度は長期間に渡り、育児休業等の休業・休暇を取得したため、研究打ち合わせでの出張や図書等の資料を購入することもなかった。その結果、それらに割り当てる予定だった予算も余ることになった。
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