|
前年度に行った石橋氏と狩野氏との共同研究である係数付き量子クラスター代数と壁付き曲面のスケイン代数の対応について、さらに壁の変形と quasi-homomorphism に関する結果を得てこれらの結果を論文として執筆した。また、石橋氏との共同研究で例外型リー代数 g(2) において曲面のスケイン代数と量子クラスター代数の対応と、クラスプ付きスケイン代数とステイト付きスケイン代数の対応について、これまでの sl(3) や sp(4) の場合と同様の結果をいくつか得ている。また、より一般のクラスのリー代数においてクラスプ付きスケイン代数とステイト付きスケイン代数の対応についての研究を進行している。
本研究課題については、研究期間全体を通して結び目の tail の具体的な計算や、スケイン代数と量子クラスター代数の対応について、rank 2 のリー代数について非常に順調に研究が進んだと考えている。これらはともに Kuperberg のウェブによる計算を基礎としており、スケイン関係式を通した組み合わせ的な計算方法の発展と、それらのウェブの表現論的な解釈によって得られた結果である。tail の計算については、今後は頂点作用素代数との関係や量子モジュラー形式との関係など理論的に更に深めていくための手がかりになる結果が得られた。また、スケイン代数と量子クラスター代数との対応については、石橋氏との共同研究ですべての rank 2 の単純リー代数について結果を得て、高階のスケイン代数と量子クラスター代数の対応に関する研究の道筋を示すことができた。
|
