研究実績の概要 |
群作用・固有性・コホモロジーに関連する幾何学を研究した。 (1) Lie 群 G の離散部分群 Γ が等質空間 G/H に固有かつ自由に作用するとき、商空間には G/H を局所的なモデルとする多様体の構造が自然に定まる。このようにして得られる多様体を Clifford-Klein 形という。素性の良い幾何構造を持つ多様体は、しばしば Clifford-Klein 形の言葉を用いて記述できる。 今年度の研究で、半単純対称空間がコンパクトな Clifford-Klein 形を持つための新たな必要条件を得た(Fanny Kassel 氏、Nicolas Tholozan 氏との共同研究)。応用として、例えば SO(n+1, C)/SO(n, C) がコンパクトな Clifford-Klein 形を持つことは n = 0,1,3, or 7 と同値であるとわかった。現在、さらに多くの例を得るために計算を進めている。 小林俊行氏と吉野太郎氏による研究以降、コンパクト Clifford-Klein 形の存在問題は何らかの形で KO 理論と関係しているであろうと漠然と予想されていたが、我々の得た必要条件は(Adams 予想を用いると)まさに KO 理論の言葉を使って述べることができる。 (2) ある種のピンポン補題を用いて自由群よりも複雑な離散群の表現を構成する方法について検討した(Fanny Kassel 氏との共同研究)。
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