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2022 年度 実施状況報告書

双曲構造の変形と非離散的表現の幾何

研究課題

研究課題/領域番号 19K14530
研究機関広島大学

研究代表者

吉田 建一  広島大学, 持続可能性に寄与するキラルノット超物質国際研究所, 特任准教授 (70793371)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード錐構造 / 指標多様体 / トーラス上の絡み目
研究実績の概要

有限体積3次元双曲多様体にはモストフ剛性があり、位相から等長類が決まる。しかし、完備でない構造によって変形できる場合がある。本研究では、完備でない双曲構造の変形に基づいて、3次元多様体の基本群の表現空間を幾何学的に考察している。錐多様体の連続変形による双曲的デーン手術の実現が代表的な例であるが、さらなる一般化を目指す。3次元双曲錐多様体の大域的な剛性は錐角がπ以下の場合に知られていて、このことは錐角を0まで減少させる変形が存在することにより証明される。
本研究では、錐角がπと2πの間にある場合に、錐角が減少するにも関わらず退化する例をトーラス上の絡み目から得た。双曲錐構造はある多面体の貼り合わせによって具体的に構成でき、その双曲的な多面体の等長類を決定することに帰着できる。この場合の退化は特異集合が交差することによって起こる。 そこで、変形の際の特異集合の交差を回避するために、錐構造の一般化となる穴あき錐構造を定義した。上記の例に対しては、2πより小さい任意の錐角を実現できるようになる。基本群の表現を幾何学的に表すことができる範囲が増えるので、錐構造の大域的な剛性を考察する上でも役立つと考えられる。一般論として、穴あき錐構造のホロノミー表現を錐構造と同様に定義することができ、既約なホロノミー表現の変形に対応して穴あき錐構造を変形させることができることを示した。また、同じ表現に対応する穴あき錐構造がどのくらいあるかを記述することもできた。さらに、穴あき錐構造の体積を定義し、基本群のホロノミー表現から定まる体積と一致することを示した。
本年度は、錐角減少変形での退化の例についての論文を出版し、穴あき錐構造についての結果をプレプリントとして公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

穴あき錐構造の一般論について、基本的な結果は得ることができた。しかし、剛性や、穴のあいていない錐構造がいつ復元されるかなど、穴あき錐構造という概念がどの程度有用であるかに関わる性質を示すのに難航している。

今後の研究の推進方策

穴あき錐構造を構成するための穴あき多面体について、変形と退化を考察する。また、トーラスや双曲的閉曲面の上の絡み目についても双曲錐構造を通して考察する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響により出張が減ったため、次年度使用額が生じた。さらに、補助事業期間を1年間延長したため、2023年度分の経費として旅費や物品費等に利用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Degeneration of 3-dimensional hyperbolic cone structures with decreasing cone angles2022

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Ken’ichi
    • 雑誌名

      Conformal Geometry and Dynamics of the American Mathematical Society

      巻: 26 ページ: 182~193

    • DOI

      10.1090/ecgd/375

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Holed cone structures on 3-manifolds2022

    • 著者名/発表者名
      吉田建一
    • 学会等名
      京都大学微分トポロジーセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 3次元多様体上の穴あき錐構造2022

    • 著者名/発表者名
      吉田建一
    • 学会等名
      結び目の数理V

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公開日: 2023-12-25  

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