本研究において、3次元ユークリッド空間内のフロントやフロンタル、3次元ミンコフスキー空間内の混合型曲面について、以下の結果を得た。 1.フロントの特異点において非有界になる主曲率に関する焦面について、その特異点型と幾何学的な性質を明らかにした。具体的には、(i) 初期フロントの特異点型やそこでの微分幾何学的性質と焦面に現れる特異点型の関係、(ii) 初期フロントの特異点が副放物点であるときの焦面のガウス曲率の振る舞いを明らかにした。特に、ガウス曲率が非零で有界なフロントは、特異点において有界な主曲率は恒等的に零となるため、対応する焦面は定義できない。一方、非有界な主曲率関数の逆数で定義される関数は、特異点において非零で滑らかな関数となるため、この種のフロントに対する焦面は、こちらの主曲率に対応する。このことから、本研究は、ガウス曲率一定なフロントの焦面の研究において重要な役割を果たすと考えられる。関連して、フロンタル曲面の主曲率の挙動についての研究も行った。 2.フロントのガウス写像に現れる特異点を峰点や主曲率関数から得られる性質を用いて明らかにした。特に、有界なガウス曲率を持つカスプ辺に対して、特異曲率の符号とガウス曲率の符号をガウス写像に現れる特異点型を用いて関係づけた。 3.ある表現公式で与えられる曲面の特異点に対して、その存在・非存在を明らかにした。また、特異点における幾何学的性質についても明らかにした。 4.混合型曲面とは、3次元ミンコフスキー空間内のはめ込まれた曲面であり、その誘導計量が、正定値、不定値、退化となる点を持つものである。この曲面の誘導計量の退化点集合は、曲面上の光的点集合となる。本研究では、光的点集合の像と光円錐の接触を考察することにより、二種類の光的可展面の定義を行った。さらに、光的可展面に現れる特異点の特徴づけを与えた。
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