研究課題/領域番号 |
19K14535
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
蔦谷 充伸 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (80711994)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高次ホモトピー構造 / An写像 / 高次ホモトピー正規性 / ファイバーワイズホモトピー / uniform Roe algebra |
研究実績の概要 |
今年度も引き続き新型コロナウイルスの感染拡大により、出張を中心とした研究計画が実行に移せなかった。一方でオンラインでのセミナーへの出席を続け、研究交流は引き続き行った。来年度に研究期間を延長したので、行動制限の緩和など、少しでも本来の計画に近い形で実行できるよう願っている。 本年度は2本の論文執筆を行った。1本目はuniform Roe algebraと呼ばれる作用素環の可逆元のなす群のホモトピー型に関する研究である。この研究により無限次元ベクトル空間に対しendという概念を導入し、end付きベクトル空間の非加算無限個の相異なる特性類を発見した。このようなベクトル束は無限巡回被覆の上のベクトル束から自然に得られる対象であることも分かったため、様々な応用が期待できる。 もう1本は正規部分群の高次ホモトピー版である高次ホモトピー正規性に関する論文である。ホモトピーファイバー列に自然に高次ホモトピー正規性が現れることから、その理論の基礎付けや障害理論を構築して計算可能な状態にすることは基本的な問題であったが、ホモトピーファイバー列の誕生以来半世紀以上もの間この問題は解決されなかった。これまでに「高次」でないホモトピー正規性については数多くの研究があったし、高次ホモトピー正規性についても障害理論の伴わない研究はいくつかあった。この論文では障害理論を含めた高次ホモトピー正規性の基礎理論を構築し、古典型Lie群に関する基本的な例において実際に計算を行った。計算手法は古典的なファイバーワイズホモトピー論によって行うことができ、使い勝手の良いものである。一方で、理論そのものを修正すべきという類のものではないと思われるが、一部の状況では全くと言っていいほど計算が実行できないことがある。今後はそういった例についても計算が実行される必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文の執筆のような思考を行う部分については予定以上の成果を得ている。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により予定していた出張が実行できなかった。オンラインでのセミナーなどによりある程度は進めているが、十分とは言えない。次年度に期間を延長し、延期していた分の出張などを行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
論文の執筆などについてはある程度の成果を得ているが、ファイバーワイズAn構造の基礎付けについてはまだ十分に進められていないので、まずその問題に取り組む。その上で具体例の計算なども可能な限り取り組む。 また、2年前より延期を続けていたイギリス(エディンバラ)への出張を行い、研究連絡および研究集会での発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
もともと大部分を旅費として申請していたため、新型コロナ感染拡大が理由で大部分が使用できなかった。また、書籍等のため計上していた部分については本年度は特に必要とならなかったため使用していない。
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