研究課題/領域番号 |
19K14540
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
多羅間 大輔 立命館大学, 理工学部, 准教授 (30722780)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | Hamilton力学系 / Lagrange力学系 / 測地流 / Lie群 / 等質空間 / 可積分性 / 情報幾何学 / sub-Riemann構造 |
研究実績の概要 |
Lie群や等質空間のような対称性をもつ空間上の力学系に関する幾何構造の特異性の視点からの研究について,2022年度は主に以下の課題に関して研究を進展させることができた. (i)情報幾何学に現れるアファイン測地流:Lie群を標本空間およびパラメータ空間とする確率密度函数族に付随する統計的変換モデルに関して,非コンパクトLie群の場合についてフランスの共同研究者と研究を行った.特に,Euclid空間上の正規分布族を半直積Lie群上の統計的変換モデルとして定式化し,Fisher-Rao計量に関する測地流のEuler-Poincare方程式およびLie-Poisson方程式を導出してその可積分性を証明した.この結果に関しては国際会議プロシーディングスに論文が掲載されている. (ii)3次元Euler方程式の摂動:3次元自由剛体のEuler方程式と整合的な自然なPoisson構造族に関して,対応する摂動系についてシンプレクティック葉上での極限軌道の個数評価をフランスの共同研究者とともに行った.この結果に関しては現在論文執筆中である. (iii)7次元球面上のsub-Riemann測地流の可積分性:Clifford代数の表現によって定まる7次元球面上の自明化可能なsub-Riemann構造に関する測地流の可積分性について,ドイツの共同研究者との研究によってその証明に成功した.この結果に関しても現在論文執筆中である. その他,Lie群・等質空間上の可積分測地流に関するスイス・中国の研究者との共同研究や,低次元可積分系に付随するLagrangeファイブレーションの幾何構造に関する研究も継続中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度前半はCOVID-19の影響が残り,海外出張や外国からの共同研究者等の招聘による研究打ち合わせの実施ができず効果的な研究推進がやや難しかったため,上記のような状況判断を行った.とりわけ,低次元可積分系に関する研究の進捗はやや遅れている.2022年度後半から海外出張が段階的に可能となり,2023年度はさらに精力的に研究の展開を図ることができると考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は,Lie群や等質空間上の測地流やHamilton力学系に関するこれまでの研究を踏まえつつ,可積分性・力学系理論・sub-Riemann幾何学・情報幾何学等の知見を基に力学系の特異点と幾何構造における特異性の関連性についてより包括的視点から研究を展開する.また,量子力学系との関係や他分野への応用の可能性についても考察を深める. 共同研究者等との研究打ち合わせやセミナー・研究集会における研究議論を通して研究を継続させ,研究集会・セミナー等での研究発表や学術誌への論文投稿も積極的に行う予定である.また,いくつかの研究集会の組織にも携わる予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度前半までCOVID-19の影響が大きく,国際共同研究のための研究打ち合わせや国際研究集会への参加ができなかった.2023年度は,研究打ち合わせ・国際会議参加に関連する出張旅費や招聘費用等の支出を見込んでいる. 国内の研究者との研究打ち合わせやセミナー・研究集会の実施に際しても,旅費等の支出を見込んでいる.
|