研究課題
当該年度は、整数係数特殊線形群のレベル付き主合同部分群 G について調べ、その結果を利用し、向き付け不可能曲面のレベル付き写像類群 M の生成系を構成した。具体的には以下の通りである。まず、G の可換化はすでに知られており、その結果を用いて G の極小な生成系が構成できることに注意する。当該研究では、この結果を用いずに G の極小な生成系を構成し、さらに、別の方法で G の可換化を決定することに成功した。さらに、G の部分群である別のレベルの主合同部分群 H について、G/H を計算した。次に、G に関する上述の結果を利用し、G から M への自然な準同型写像の像と核を調べた。この結果を用いて、M の具体的な生成系の構成に成功した。M は向き付け不可能曲面の Torelli 群 I を部分群としてく含んでいるため、当該研究の主たる目的である I の生成系に関する研究に大きく貢献するものである。また、G に関する研究で得られたアイディアは I の可換化を考えるヒントにもなり得る。
3: やや遅れている
育児により、研究のための時間を確保できなかったため。
これまでの研究期間で得られた結果を利用し、向き付け不可能曲面の Torelli 群 I に関する研究を行う。具体的には、I の有限生成系の構成や I の可換化の決定に取り組む。
育児により、予定していた研究集会等への参加をいくつか見送ったため。次年度の出張旅費に使用する。
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Osaka Journal of Mathematics
巻: 59, no. 2 ページ: 269-314