前年度までに、向き付け不可能閉曲面のレベル付き写像類群の生成系に関する研究を行い、当該年度はその結果を利用し、境界付き向き付け不可能曲面のレベル付き写像類群の生成系の構成を試みた。具体的には、有限正規生成系(無限生成系)の構成に成功し、さらに、向き付け不可能閉曲面のレベル付き写像類群の有限生成系から境界付き向き付け不可能曲面のレベル付き写像類群の有限生成系を具体的に構成する方法を確立した。このことにより、特定のレベルにおける境界付き向き付け不可能曲面のレベル付き写像類群の有限生成系が得られた。 研究期間全体を通して、コンパクトな向き付け不可能曲面の写像類群やそのツイスト部分群の表示に関する研究、曲面の基本群の生成系に関する研究、レベル付き写像類群の生成系に関する研究といった、組み合わせ論的群論の観点からの研究を遂行し、合計5本の査読付き学術論文(掲載予定含む)、2本のプレプリントを発表し、19回の講演を行った。
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