研究課題/領域番号 |
19K14563
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
野瀬 敏洋 福岡工業大学, 工学部, 助教 (90637993)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 局所ゼータ関数 / 解析接続 / 漸近解析 / 無限回微分可能関数 / 平坦関数 |
研究実績の概要 |
2019年度は局所ゼータ関数について研究を行った。局所ゼータ関数は無限回微分可能関数を用いて右半平面上定義される複素正則関数であり、その解析接続可能な領域について以下の結果を得た。 (1) 2次元局所ゼータ関数の有理型解析接続可能領域に関連して、半平面状の領域への有理型解析接続がどの範囲まで行われるかを表す量を定義した。その量に対する下からの評価を、単項式と平坦な関数の和で表されるようなモデル関数の場合に調べた。モデル関数は平坦関数の様子によって4通りに分類され、そのうちの3つが非自明な状況であった。それぞれの場合について、局所ゼータ関数は一様に特定の半平面状領域まで有理型解析接続されることがわかった。この3通りのうち1つについては、2次元局所ゼータ関数が特別な無限回微分可能関数によって定まる場合に、ある点を超えて有理型関数として解析接続できないことは既に示されていたため、上記の量についてある種の最良評価を与えたことになった。なお、この結果は九州大学の神本氏との共同研究によるものである。 (2) 2次元局所ゼータ関数が上記と異なる特別な無限回微分可能関数によって定まる場合に、先行研究と同様の有理型解析接続不可能性に関する結果を得た。先行研究と異なり、局所ゼータ関数が極をもつにもかかわらず有理型関数として解析接続できないという状況が起こりうることが示された。具体的には局所ゼータ関数の特異点における漸近挙動を調べることで、極とは異なる特異性をもつことを示した。この結果から、(1)で定義した量についてモデル関数の場合に得られた下からの評価は、最良であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究のテーマに関する研究結果をいくつか得ることができており、おおむね順調に進展しているといえる。具体的な無限回微分可能関数について、局所ゼータ関数の有理型解析接続の様子が実解析的関数と異なるという状況が詳細に観察出来ており、より一般的な状況への応用が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、より一般的な状況における局所ゼータ関数の解析接続について調べる。無限回微分可能関数に対してトーリック・ブローアップを用いることでうまく局所表示することを試み、詳しい解析を行いたい。また、振動積分の漸近解析をはじめとする、対応した種々の問題への応用を考える。 なお、これまでに得られた研究成果については論文として未発表のものがあり、現在は研究と論文の執筆作業を同時進行させている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、参加する予定の研究集会が中止となったため。次年度の旅費に充てる予定である。
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