研究期間全体を通じて局所ゼータ関数について研究を行った。局所ゼータ関数は無限回微分可能関数を用いて右半平面上定義される複素正則関数である。本研究課題では無限階微分可能関数の局所表示に関する研究が主なテーマであったが、それに関連して局所ゼータ関数の解析接続可能領域や特異点での振る舞いについて以下の詳細な結果を得た。調和解析の他の問題において、これらの結果およびその証明方法が無限階微分可能関数を取り扱う際の指針の一つとなることが期待される。 (1)2次元局所ゼータ関数の有理型解析接続がどの範囲まで行われるかを表すような、無限階微分可能関数から定まる量を定義した。その量に対する下からの評価を、単項式と平坦な関数の和で表されるようなモデル関数に対して調べた。このモデル関数は平坦関数の様子によって4通りに分類される。その内の1つが実解析的な場合に相当し、上記の量が無限大になることが知られている一方、残りの3つが非自明な状況であった。この3つの場合についてそれぞれ一様に特定の半平面状領域まで局所ゼータ関数が有理型解析接続されることがわかり、上記の量の下からの評価を得た。この結果は九州大学の神本氏との共同研究によるものである。 (2)上記の3つの場合のうち1つについては、特定の場合に2次元局所ゼータ関数が極でない特異性をもつことが既に示されていたため、上記の量についてある種の最良評価が得られていた。残り2つの場合についても、下からの評価について同様の最良性を得た。その際、先行研究とは異なり、局所ゼータ関数が極と極でない特異性を同時にもつという状況が起こりうるということが観察された。 (3)モデル関数における単項式の指数すべてに対して、(2)で得られた3つの場合の下からの評価が最良であるか、という問題に対して肯定的な解を得た。これは2023年度に得られた成果であり、現在論文を執筆中である。
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