Hardy不等式やSobolev不等式等の関数不等式の最良定数及び付随する最小化問題の達成可能性(不等式の等号成立条件)について研究を行った。具体的には以下の通りである。 1.内点特異性をもつ古典的Hardy不等式と境界特異性をもつGeometric Hardy不等式の最良定数まで含め結合したような一般形(複数特異性をもつHardy型不等式)の導出、高階への一般化、極限形の導出に関する考察を行った。これらの3つのタイプのHardy型不等式は、ガウスの発散定理を違う3つの使い方をして得られることを示し、また3つの不等式の関係性をそれぞれが持つvirtual minimizerを用いて説明し、ある種の積構造があることを述べた。また高階のHardy不等式(Rellich不等式)に関しては、現在の未解決問題を含む形でより一般的なConjectureとしてまとめた。 2.Sobolev不等式のある種の臨界形である一般化臨界Hardy不等式に付随する埋め込みのコンパクト性について考察を行った。臨界ソボレフ空間を球対称な空間と非球対称な空間に分解し、非球対称な空間に制限した場合は埋め込みがコンパクトになることを証明した。これはよく知られた現象であるStraussのradial compactnessと真逆の現象であり、興味深い結果と言える。さらに対応する最小化問題がなぜパラメータによって最小化元の存在・非存在が変わるのかを直感的に説明するものである。 上記の2つの研究は論文原稿にまとめられ、学術雑誌に既に掲載されている。
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