研究課題/領域番号 |
19K14570
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
星埜 岳 東京電機大学, 理工学部, 助教 (30778155)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 消散型シュレディンガー方程式 / 時間減衰評価式 |
研究実績の概要 |
非線形シュレディンガー方程式(NLS)の初期値問題について考察した。 非線形項が冪型の場合を考え、非線形項の前に置かれた係数が消散性の条件を満たすものを考えた。このとき解に対して分数階の重みつきソボレフ空間におけるアプリオリ評価式が成り立つので初期値のノルムの大きさに条件を課することなく時間大域解を構成できる。この解の構成法を散乱理論において知られた臨界指数より低いため長距離散乱の枠組みとなることが知られた非線形項の冪をもつNLSに対して当て嵌め、解がその長距離となる枠組みであることから通常の解に対して期待される自由解と同じ時間減衰評価よりも早い時間減衰評価を満足するという結果を示した。また初期値のフーリエ像がジュブレイクラスに属するときに時間大域解が同じジュブレイクラスに属することを示した。 またこの結果とは独立して別のテーマとして非線形項の前に置かれた係数に特別な仮定をせず初期値のフーリエ像がジュブレイクラスに属する、かつノルムが小さいとき時間大域解も同じジュブレイクラスに属するという結果を示した。またジュブレイクラスにおける線形の解と似た時間減衰評価式を満たするという結果をモジュレーション空間を用いて示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで大きく分けて得られた結果が3つありそれらを論文の形にまとめて査読付きジャーナルに投稿し3つとも掲載済または掲載が決定している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得られた重み付きソボレフ空間におけるアプリオリ評価式を成り立たせるためにはソボレフ空間の階数、初期値の属するクラスや非線形項の前に置かれた係数に対して条件がつく。これらの条件を緩和したり別の条件に置き換えたりすることができるかを考察する。またその研究とは独立した別のテーマであるがモジュレーション空間を用いた時間減衰評価式をなにか解の性質を示したりすることに有用に用いることができるかを考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費に必要な予算が当初、予想していたものよりも低く抑えられたため。
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