Sobolev不等式やTrudinger-Moser不等式を統一的に扱うことができる非線形項を考察し、その変分問題に関する研究を行った。具体的に、Sobolevノルムを正規化する変分問題を考察し、その変分問題を達成する最大化関数の性質についての研究を行った。変分問題を達成する最大化関数は対応するEuler-Lagrange方程式の解となるが、さらに基底状態解になっているということを明らかにした。証明の際に、まずDirichletノルムを正規化する変分問題とEuler-Lagrange方程式の基底状態との関係を調べ、そしてその結果を用い今回の結果を得たため、上記の結果と同時にDiriculetノルム正規化の変分問題の最大化関数と対応するEuler-Lagrange方程式の基底状態解との関係性も得られている。一方で、逆は一般には成り立たないこと、つまり、非線形楕円型方程式の基底状態解で対応する変分問題の最大化関数にならないものの例も発見した。これらの結果から、変分問題の最大化関数とEuler-Lagrange方程式の基底状態解に関して、最大化関数は基底状態解にはなるが同値性は成り立たないことが明らかになった。 今回得られた結果は研究課題のTrudinger-Moser不等式だけでなく一般の不等式に関する結果であるため、応用の範囲も広いと考えている。また、今回の結果をもとに既に幾つかの新たな研究を行っている。国内の研究集会でも既にこの研究結果の発表は行っており、今後海外の研究集会でも研究発表を行う予定である。
|