研究課題/領域番号 |
19K14583
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松本 直己 慶應義塾大学, デジタルメディア・コンテンツ統合研究センター(日吉), 特任助教 (50747243)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生成定理 / 局所変形 / 既約グラフ / グラフ彩色 |
研究実績の概要 |
2019年度は,交付申請書の「補助事業中の研究実施計画」に記載した通り,これまでのグラフの生成定理と列挙問題に関する文献調査と申請者がこれまでに証明した結果の見直しに時間を割いた.特に,次年度以降で生成定理のバリエーションを証明する上で,これまでに研究されてきた生成定理における各変形操作がグラフのどのような性質を保存するのかを明らかにし,次年度以降の研究のための準備を整えることができた. この過程で,これまでの生成定理の研究で得られた結果を応用することによって,グラフ彩色の研究分野において,多くの研究成果を上げることができた.その中のいくつかの例について,以下に記す. 横浜国立大学の大野氏と共に取り組んだFacial complete coloringと呼ばれる閉曲面に埋め込まれたグラフの面に現れる色に着目した彩色の研究では,過去に申請者が証明した4-連結平面偶三角形分割の生成定理の研究で出てきたある既約構造が用いられている.この既約構造は,過去に行ったN-flipと呼ばれる局所変形による同値性の分類に関する研究においても用いられている. 閉曲面上の四角形分割の生成定理において,Face contractionと呼ばれる局所変形が用いられている.これは,四角形面の対角の位置にある2頂点とそれに付随する2辺を同一視する変形であるが,この変形を利用して,一意的に3-彩色可能な閉曲面のグラフの部分構造を明らかにすることに成功した. これらのグラフ彩色における研究については,それぞれ学術論文として学術誌に掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大まかには交付申請書に記載した通りに研究が進んでおり,全体的に見ておおむね順調に進展していると言える. まだ生成定理そのものの研究に大きな進展はないものの,生成定理を応用した研究については順調に進んでおり,「研究実績の概要」に記載したもの以外の応用研究も現在進行中である. また,生成定理の応用研究を進めたことにより,生成定理を効率的に応用するために,どのような性質を保存すれば良いのか等が徐々に明らかとなってきた.これにより,これから証明する生成定理の様々なバリエーションの方向性が定まってきたため,2020年度以降に予定している研究も順調に進めていけると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書の「補助事業中の研究実施計画」に記載した通り,今後はより多くの「生成定理のバリエーションの証明」と「変形操作の優先度を考慮した生成定理の創成」に時間を割く.生成定理の新たなバリエーションの証明には2019年度で得た各局所変形が保存するグラフの性質の情報を活用する. 特に,マイナー関係を保持した二部的四角形分割の生成定理については,平面・射影平面以外の閉曲面においては何も知られていないので,まずはトーラス・クラインの壺上の二部的四角形分割のマイナー関係を保存した生成定理の創成を中心に,様々なバリエーションの生成定理の研究を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度のノートパソコンの購入を見送り,また新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,2月以降の出張(会議への参加,研究打ち合わせ等)がすべてキャンセルとなったため. 2020年度では,昨年度キャンセルとなった打ち合わせの実施および処理速度の速いノートパソコンの購入を予定している.
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