研究課題
本年度は本研究課題の最終年度であり,検査計画問題を中心に,システム不具合の原因となる因子・水準の組合せを特定するアルゴリズムおよびその関連するグラフ構造の研究に力を入れた.特に検査計画問題における既知唯一の適応型特定アルゴリズムを改良することに成功した.改良アルゴリズムは,不具合の「複雑度」が一定数以下の場合に不具合原因となる組合せをすべて検出できることを理論的に証明でき,「複雑度制約」なしのシステムに対しても検出正解率が大幅に向上したことを計算機実験で示した.また,それに関連するグラフ構造の特徴付けを通して,グラフ上の組合せ探索問題をモデル化・一般化し,その情報理論的な側面および計算理論的な側面から組合せ限界式と計算量の考察を行った.さらに,誤り訂正符号と組合せ検査計画問題の融合研究として,検査計画問題の非適用型のアプローチに利用される誤り訂正能力を持つ locating array において,符号理論・組合せデザイン理論・有限体の指標を用いた多様な構成法を発展させ,まとめた成果を論文化した.加えて,前年度まで得られた2水準の巡回準直交配列 (Circulant Almost Orthogonal Array; CAOA) の成果を踏まえて,多水準の CAOA への拡張およびその関連する組合せ構造の研究を進めている.これは今後の課題でもある.最後に,組合せデザインの代数的構成法を暗号理論への応用として,秘密情報の平文をいくつかの分散情報に分けて管理する暗号方式である秘密分散法に関する研究を行った.改竄攻撃に耐えられる秘密分散法を実現するための代数的改竄検出 (AMD) 符号を構成するため,Almost External Difference Family (AEDF) と呼ばれる組合せデザインを提案し,理論的構成法を与え,そして最適 AMD 符号との関連性を示した.もっと一般的なパラメータを持つ AEDF に関しては,未解決問題が残されており,今後の課題としている.
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E105-A ページ: 未定
10.1587/transfun.2021EAP1071
Proceedings of the 2022 IEEE International Symposium on Information Theory (ISIT)
巻: 採択 ページ: 未定