研究実績の概要 |
今年度は, 滑らかな領域における楕円型方程式・放物型方程式に対する有限要素法に関する論文 (2編) を出版した. 楕円型方程式の成果は, 滑らかな領域における有限要素法に対する誤差評価を行い, 期待される誤差評価を得た. 放物型方程式の成果は, 有限要素法による空間離散化に関して, 最大正則性などのアプリオリ評価を得た. これらの成果は, 有限要素法の研究において基礎的な成果であり, 滑らかな領域における有限要素法の研究の基盤を築いたと言って良い. 非線形偏微分方程式への応用も十分に期待できる成果である. これらの成果の続きとして, 滑らかな領域における4階楕円型方程式に対する有限要素法や, 放物型方程式の不連続Galerkin法による時間離散化に関して研究を行い, 一定の成果を得ている. そもそも, 楕円型偏微分方程式に対する有限要素法の研究は, 主として2階の楕円型方程式を対象にしたものばかりである. そのため, 4階楕円型方程式に対する研究は, それ自身に意義がある. また, 放物型方程式に対しては, 最大値ノルムによる誤差評価を得ることに成功している. この成果は, 最大正則性などのアプリオリ評価や, 非線形方程式への応用が可能であると期待できる. これらの成果は, 次年度以降にブラッシュアップをし, 論文にまとめる予定である. その他, Allen-Cahn方程式に対する数値解析の成果や, Strang splitting法と呼ばれる時間離散化手法に対する成果, および, 行列方程式に対する成果をまとめた論文 (計4編) も出版された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2階の楕円型方程式に関してはほぼ完了したと言ってよく, 放物型方程式に対しても, 予定通り空間離散化が完了し, 時間離散化に着手したところである. したがって, 線形の偏微分方程式に対して順調に研究が進んでいると評価できる.
|