捕食者間の相互協力による採餌の円滑化を考慮した被食者-捕食者モデルの解の漸近挙動について研究を行った.捕食項が,捕食行為までにかかる時間(handling time)を係数として含めた Holling II 型であるときに,モデルの共存平衡点の存在個数の分類や分岐に関する解析を行った.Saddle-node 分岐,Hopf 分岐をはじめ,Sotomayor 条件に基づいて得られる transcritical 分岐が起こるための条件を導出した.捕食者の成長過程における maturation delay を考慮した遅れつきモデルにおいては,被食者間の協力度合いを表す係数や handling time を用いた条件による共存平衡点の存在個数の分類を行った.本結果は,査読付き国際誌 Journal of Biological Dynamics に掲載された.続いて,感染症の流行を記述した自由境界をもつ拡散型感染症モデルの半空間を伝播する進行波解の存在・非存在や,進行波解が存在する場合の解の伝播速度に関する研究を行った.当該年度においては,接触項と回復項に現れる感染個体群に対応する未知関数が Holling II 型である場合にも,2020 年度に査読付き国際誌 Discrete and Continuous Dynamical Systems Series S に掲載された論文での解析を応用し,進行波の存在・非存在を調べた.
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