研究実績の概要 |
本研究の目的は以下の反応拡散モデルの解析を行うことである。 ∂u/∂t(t,x) = △u(t,x)+f(x,u(t,x)), t∈(0,∞), x∈Ω (1) 特に(1)の真解uの存在を数学的に厳密な意味で保証し、かつその符号変化構造を明らかにする。ここで “符号変化構造”とは「uの同符号領域(Nodal domain)の数」と「u=0となる点を結んだ線(Nodal line)の交わり方」を意味する。即ち、(1)の真解uが数値近似解の付近に存在することを具体的な誤差上限rと共に保証し、更にuの符号変化構造をも数学的に厳密な意味で保証をするということが本研究の目的である。 本研究では、以下の3つの手順で対象問題の解の存在性および符号変化構造を明らかにする:「手順1:対象問題の近似解を求め、その近傍に真解が存在することを示す」「手順2:符号変化構造が不明な領域Uを特定し、U内のNodal sets非存在性を証明する」「手順3:手順2で得た情報を基にNodal setsの数とNodal lineの位相構造を決定する」 本年度の研究では特に上記手順水の状態変化や合金の生成過程等を表す重要な方程式であるアレン・カーン方程式の定常問題へ応用し、その符号変化構造を解析した。特にソボレフノルムおよび本質的に有界な関数のノルムの意味で存在性が示された定常解に対して、そのNodal setsの数とNodal lineの位相構造を決定することができた。
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