本研究の目的は精度保証付き数値計算の技術を用いて反応拡散モデルの計算機援用解析を行うことである。具体的には対象とする問題の真解uの存在を数学的に 厳密な意味で保証し、かつその符号変化構造を明らかにすることが目的である。ここで“符号変化構造”とは「uの同符号領域(Nodal domain)の数」と「u=0とな る点を結んだ線(Nodal line)の交わり方」を意味する。即ち、真解uが数値近似解の付近に存在することを具体的な誤差上限rと共に保証し、更にuの符号変化構 造をも数学的に厳密な意味で保証をするということが本研究の目的である。本研究では、以下の3つの手順で対象問題の解の存在性および符号変化構造を明らか にした:「手順1:対象問題の近似解を求め、その近傍に真解が存在することを示す」「手順2:符号変化構造が不明な領域Uを特定し、U内のNodal sets非存在性を 証明する」「手順3:手順2で得た情報を基にNodal setsの数とNodal lineの位相構造を決定する」。 本年度は、昨年度の研究より得た発見であるレベルセット内における局所ディリクレ問題に着目する手法のL∞誤差評価への応用可能性について検証を進めた。 さらに、本年度は本研究プロジェクトの最終年度であることから、研究内容を総括する講演を複数行うなど、研究成果のアウトリーチ活動を積極的に行った。
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