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本年度も引き続き、当初の目的である、量子多体系における真空の構造に由来したカシミール力への影響とまたそれを用いたカシミール力の利用方法の提案という目的に基づいた研究を行った。
具体的には、本年度、カシミール効果に関連する真空の構造の解明に関して、(1)磁場を加えた状況での非一様解、特にドメインウォール解の安定性とそのエネルギーについての解析、(2)1次相転移のある系においてカシミール力に生じる特異的な振る舞いについての解析とそれを利用した1次転移点の同定方法についての研究を行い、前者については論文が今年度受理され、後者については現在論文投稿に向け執筆中である。
また、真空の構造に関連して光格子系での量子情報の伝播や発達、またその観測方法や推定方法の提案を念頭に研究を進め、当該年度中に、光格子中の自由ボソン系のエンタングルメントのダイナミクスに関する論文(PRR(2023))と、脱分極ノイズの存在下におけるフィデリティ推定の方法の提案(PRR(2023))の論文が出版された。また、カシミール力を用いた熱機関の構成の提案の前段階の研究として、非平衡量子系における周期駆動系による熱機関の構成(PRR(2023))に関する論文も出版された。
研究機関全体を通じて、真空の構造によるカシミール力への影響、多体相関がある場合や外場ある場合の真空構造の解明(非一様な解や量子相関など)、境界が駆動する際に取り出すことが可能な仕事などについて統括的な研究を行ってきた。
現在さらにカシミール力の利用方法やカシミール力による非自明な現象の解明に向けて得られた結果を組み合わせた研究を行っている。
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