本研究では、光を用いて作った一様なポテンシャル中にルビジウム原子のボース・アインシュタイン凝縮体(Bose-Einstein condensate; BEC)を準備することを目指している。共鳴から十分に離調した光は、原子をその磁気副準位によらず捕獲でき、一様スピノールBECの生成に好適と考えられる。2020年度までに、光ポテンシャルのわずかな磁気副準位依存性が、低エネルギーのスピノールBECの物理の観測の妨げとなりえることへの対策手法の検討と開発とを進めた。 2021年度は、重力を補正するのに十分な光強度の確保にとりくんだ。一様なBECを生成するには、BECが存在する領域にわたって、重力を補正する光ポテンシャルを作る必要がある。そのようなポテンシャルを形成するには、数百mWから数Wの波長1 um付近のビームを原子に照射することが好ましい。重力を補正する線形ポテンシャルを作る音響光学素子の光回折効率を向上し、また、より高出力な1064 nmの準備も行った。
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