研究課題
量子測定理論を精密分光法へ応用出来るかについて議論し、量子測定理論の実用例を増やしていくことが本研究課題の目的である。本研究課題のコア技術と想定していたアハロノフ教授らによって発案された「弱測定理論」に関しての進展は、エンタングルメント状態に対する量子状態推定技術に対する応用事例を構築し、現在、光学実験での実験可能性について議論を引き続き行っている。量子測定理論の応用事例として、ナノダイヤモンド中の窒素・格子欠陥を用いた量子測定法に関して、具体的に生体試料に適用し、世界で初めて薬剤刺激における非ふるえ熱産生をこのナノダイヤモンド量子センサーを局所温度計として用いることにより適用することが出来た。これにより、当初目的としてきた、量子測定理論を量子エレクトロニクス分野以外の分野の研究展開をするということは達成された。今後のナノダイヤモンド温度センサーの研究の方向性に対して、局所温度測定およびイメージングの感度向上に資する理論的な枠組みを揃えると共に、測定物理量をハイブリッド化するなどの量子測定面を中心としてサポートしていく予定である。今後、精密分光法に適用するために、新規量子測定法の理論提案が必要であるが、この点に関して議論を今後深めていきたいと考えている。更には、時間領域の量子測定理論に関しても理論的な研究提案および実装を行っており、今後、どのような分野に応用していけば良いかに関して議論を行っていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた量子測定理論を精密分光法へ応用展開に関しては、あまり研究の進捗がなかったが、現在、新しい量子測定理論に関する論文を執筆している最中である。また、当初想定していなかった量子測定理論の成果が大阪市立大学の藤原正澄グループおよび中台枝里子グループらとの共同研究により成果が出て、量子測定理論を量子エレクトロニクス分野以外の分野の研究展開をするという研究の大きな目標は達成することが出来たため。
今後は大阪市立大学の藤原正澄グループとの共同研究成果が次々と出てきているフェーズであり、この点をフォローアップすると共に、当初予定してきた量子測定理論を精密分光法へ応用展開に向けた理論展開に向け、量子散乱理論との対応関係をつけることを目標とする。
今年度に関しては、当初、数値計算用の計算サーバーを購入する予定であったが、現状使っている計算サーバーでも代替可能ということが分かった。また、年度の最後の方に出張を計画していたが、新型コロナウィルス対策のために中止をよぎなくされている学会が多く、キャンセルになったため。今後の使用計画としては、在宅勤務となり、在宅でもある程度の計算が可能な数値計算用の計算機が必要になったため、そのための資金としてあてる予定である。また、新型コロナウィルス対策下の自粛明けに開催される予定の研究会への出席にあてる予定である。
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