研究課題
量子測定理論を精密分光法へ応用出来るかについて議論し、量子測定理論の実用例を増やしていくことが本研究課題の目的である。本研究課題のコア技術と想定していたアハロノフ教授らによって発案された「弱測定理論」に関しての進展に関して、エンタングルメント状態に対する量子状態推定技術に関して論文にまとめている。更に、中国の実験グループと共同で、量子光学実験の実験系においてエンタングルメント検出に関して、機械学習を組み合わせることにより混合状態にまで拡張できることを定量的に示した。量子測定理論の応用事例として、ナノダイヤモンド中の窒素・格子欠陥を用いた量子測定法に関して、生体局所温度計測に関する理論・実験に関して大阪市立大学の藤原正澄講師の研究グループなどと共同して開発してきた。今年度は局所温度計測をしたままでのイメージングに関して挑戦し、これらに関する技術的な課題をまとめ、論文として出版した。更に、これらの理論的な側面、技術的な側面を包括し、ダイヤモンドを用いた局所温度計測に関するレビュー論文を執筆した。これらの研究成果に関しては、コロナ禍ではあるものの、招待講演を様々な学会で行うことが出来、新規分光方法論に関する議論を行うことが可能である状態にある。これらの研究の方向性は今後、生体量子計測の文脈で重要となってくると予測できるため、計測のコンセプトを固め、技術的な課題を吟味しながら、研究分野を牽引出来る体制を構築したいと思う。
3: やや遅れている
量子測定理論の応用事例に関しては、モデル生物である線虫を用いた薬剤刺激による非ふるえ熱産生をナノダイヤモンドNV中心を用いた局所温度計によって計測に関する論文を契機として、飛躍的に進展している。また、オンラインにおける学会発表なども招待講演も多く、研究計画以上の研究進展をみせている。一方、弱測定理論の進展に関しては、技術的な計算よりも理論的なアイディアの部分が欠如している部分があり、少し進展が遅れてしまった。今後、弱測定理論の進展に関する成果についても成果発表を行う機会を積極的に設け、論文としてまとめたものを出版するところまで計画している。
今年度、新型コロナウィルス拡散防止のため、2度の緊急事態宣言が発令され、研究機関における活動が制限されてしまったため、そのため、来年度まで研究計画を延長させ、オンラインにおける学会発表などを通じて成果発表を積極的に行っていきたいと考えている。更には、今年度末で採択時の研究機関を離籍し、来年度より新しい研究機関へと異動となった。異動に際して、研究室の立ち上げ等の付加的な用務が入ってしまうが、なるべく早期に研究計画を円滑に遂行できる体制を整えていきたいと考えている。そのための資料整理に関して、本研究課題を遂行するために、事務支援員を雇用することを計画している。
コロナ禍で研究計画として実施予定であった海外における共同研究に関する議論および成果発表は出来なくなった。そのため、研究計画を大幅に変更せざるを得なかった。次年度に関しては、研究代表者が異動したため、更に研究計画の遂行に関する進展が見込めない部分があるため、資料整理のための事務支援員を雇用する。更には、実験系との緊密な連携を図るため、次年度に異動した研究機関において残されていた実験系を改良することで、量子計測の応用事例を増やすことための備品、消耗品の購入にあてる。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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