量子測定理論を精密分光法へ応用出来るかについて議論し、量子測定理論の実用例を増やしていくことが本研究課題の目的である。本研究課題のコア技術と想定していたアハロノフ教授らによって発案された「弱測定理論」に関しての進展に関して、中国の実験グループと共同で、量子光学実験の実験系においてエンタングルメント検出に関して、機械学習を組み合わせることにより混合状態にまで拡張できることを定量的に示し、論文を現在投稿中である。 量子測定理論の応用事例として、ナノダイヤモンド中の窒素・格子欠陥を用いた量子測定法に関して、生体局所温度計測に関する理論・実験に関して岡山大学の藤原正澄准教授の研究グループなどと共同して開発してきた。局所温度計測と行動計測を共に計測できるシステムの構築を目指し、技術開発に徹底した。更に、これらの理論的な側面、技術的な側面を包括し、ダイヤモンドを用いた局所温度計測に関するレビュー論文を出版した。 更には、量子測定理論の応用事例の2つ目として、原子核実験での散乱実験に関するものを検討した。その検討過程の中でターゲットサンプルに関する物性評価を行うことが弱測定理論を適用できる鍵になると考え、その考えに基づき、実際に実験系の方々と共同しながら精密原子核実験の系を議論および実装した。これらの応用事例を増やすことにより、量子測定理論の適用範囲を広げ、更には実応用の際の問題点に明らかにすることが出来た。
|