磁性絶縁体中で磁気弾性結合によりマグノンとフォノンが混成して形成されるマグノンポーラロン状態について考察した。この系では、マグノンポーラロンモードのエネルギーとマグノン・フォノンの混成度合いを外部磁場により制御できる。また、強磁性共鳴などにより、マグノンとフォノンに温度差をつけることができる状況を想定した。混成状態においてマグノンまたはフォノンが支配的なマグノンポーラロン状態を外部磁場の制御により行き来する断熱過程と、熱化によりフォノンとマグノンの粒子数を変化させる過程から、熱機関サイクルを実現するシンプルなモデルを構築した。マグノンとフォノンの周波数、温度、結合定数、磁場などをパラメーターにとり、また理想的な断熱・等積などの熱過程を仮定し、モデルの熱機関の仕事と熱を解析的に求め、熱機関効率やヒートポンプの成績係数を計算した。このモデルの解析が進んだことにより本研究の土台が構築された。
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