本研究課題では、スピン軌道相互作用の大きい4d・5d電子系酸化物に着目し、強相関トポロジカル量子物性の開拓と機能制御を行った。パイロクロア型イリジウム酸化物においては、磁性ワイル半金属の実現可能性が理論的に議論されていた。近年では、磁気構造によって様々なトポロジカル電子相が現れることが知られていたが、電子相関の比較的小さい領域に限定されていた。本研究課題では、電子占有率を変化させることで、相関の強い領域でも、トポロジカルに非自明なバンド構造を持つ常磁性金属相が現れることを見出した。さらに、希土類磁気モーメントによってバンドのトポロジーを反映した特徴的な磁気輸送特性が発現することを突き止めた。
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