本研究は、電子間相互作用が強い極限と弱い極限の間の中間領域(スレーターモットクロスオーバー)に位置し、電荷・スピン・軌道自由度が複雑に絡み合う5d軌道電子系の物性現象を解明した。特に2層系イリジウム酸化物で、三重項励起子が凝縮し反強磁性秩序が生じる物理的機構を明らかにした。実験家との共同研究を行い、本研究で導かれた理論が実験結果を包括的に説明することを示した。このように励起子が凝縮することで絶縁体化した状態を励起子絶縁体と呼ぶ。本研究では、理論的に予言されてから半世紀以上見つかっていなかった反強磁性型の励起子絶縁体を初めて発見した。
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