極性-非極性構造相転移を持つ半金属MoTe2は、低温において通常のバンド描像では説明できない特異な熱電効果を示す。さらに最近、構造相転移温度を圧力を用いて抑制することで、熱電性能が向上することを発見した。この、極性構造相転移の不安定性と熱電物性の相関を明らかにするため、単結晶を用いたラマン分光測定と放射光を用いた単結晶構造解析を行った。その結果、熱電性能が増大する低温で、ソフト化する極性フォノンと特異な原子位置の温度変化を観測した。このことから、極性フォノンの不安定性と熱電効果の相関が示唆された。また、極性構造不安定性を持つ新規物質の単結晶合成に成功し、元素置換による構造相転移の制御を行った。
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