研究課題/領域番号 |
19K14657
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北川 俊作 京都大学, 理学研究科, 助教 (50722211)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超伝導 / 低温物性 / 強相関電子系 / 高磁場 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は核磁気共鳴(NMR)測定を用いて「強相関電子系に現れるFFLO超伝 導状態の性質を明らかにすること」である。FFLO超伝導とは高磁場極低温領域のみで現れる特殊な超伝導状態で通常の超伝導状態と異なり、超伝導の秩序変数が空間変化しているものである。 本年度は、研究計画のうち、重い電子系超伝導体CeCoIn5の高磁場での超伝導状態の測定を行った。CeCoIn5に対して磁場をc軸にかけた場合、4.7T以上でFFLO超伝導状態が実現していると考えられているが、その詳細は調べられていなかった。申請者らはスペクトル測定からCeCoIn5の4.7T以上の超伝導状態では超伝導の秩序変数が空間変化していることを明らかにした。これは、CeCoIn5の磁場をc軸にかけた状態でFFLO超伝導状態が実現しているを示唆する結果である。また、幅広い温度、磁場における核スピン格子緩和率測定から5T近傍に存在すると考えられてきた磁場誘起量子臨界ゆらぎが0.2K以下で抑制される兆候を観測した。 加えて、最近、超伝導状態に関して大きな進展があったSr2RuO4に対してNMR測定を行い、Sr2RuO4においても高磁場極低温領域で空間変調する超伝導状態、FFLO超伝導状態が実現することを強く支持する結果を得た。FFLO超伝導が実現している場合、スピン一重項超伝導状態が実現していることがほぼ確実なため、この結果は超伝導対称性を決定づける大きな指針になると考えられる。 さらに、最近発見されその特異な超伝導状態に注目が集まっているスピン三重項超伝導候補物質UTe2の超伝導状態に関する測定もおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画中の研究テーマが進展しているのみでなく、最近、超伝導状態に関して大きな進展があったSr2RuO4、特異な超伝導状態に注目が集まっているUTe2の超伝導状態に対する大きな知見を得たことから順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、様々な強相関電子系の高磁場極低温領域の超伝導状態を調べていく。また、前年度と同様、当初予定していた物質にこだわらず、研究領域にとって重要と考えられるぶっしつや良い参照物質となりうる物質に対しても積極的にNMR測定を行い、FFLO超伝導状態の本質を解き明かしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型肺炎の影響で研究会が一部中止になった事、研究状況の変更から物品購入を来年度に繰り越した事により次年度使用額が生じた。次年度では購入予定物品および寒剤に対して予算を使用する予定である。
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